【書評】「年間100万円の配当金が入ってくる 最高の株式投資」配当太郎
今回は、配当太郎さんの著書「年間100万円の配当金が入ってくる最高の株式投資」を紹介します。
本書は
- 日本株の投資初心者
- 配当株投資に興味がある人
にオススメです。
著者プロフィール
- 名前 配当太郎
- 職業 サラリーマン投資家
学生時代に株式投資を始め、リーマンショックを経て、配当株投資に目覚める。
日本の大型株を中心に投資し、保有銘柄の9割が配当金が年々増える「増配銘柄」が占める。
ツイッターで、毎日、配当株投資に関する情報を発信している。
本の概要
「年間100万円の配当金が入ってくる最高の株式投資」は、配当株投資の魅力や実践方法について紹介している本です。
本書の要点がこちらです。
- 配当株投資の魅力
- 配当株投資の進め方
- 配当株を選ぶ際のポイント
それぞれ順番に見ていきましょう。
配当株投資の魅力
本書では、配当金を主な目的とした株式投資を「配当株投資」と呼んでいます。
配当株投資の魅力がこちらです。
- 配当金が半永久的に受け取れる
- 株価を気にせず、淡々と投資できる
- 配当金は自由に活用できる
それぞれ解説してきます。
①配当金が半永久的に受け取れる
配当株投資の一番の魅力は、投資している企業の利益の一部を配当金として半永久的に受け取れる点です。
また、企業の利益が増えれば、配当金の増加も見込めます。
配当金は、何もしなくても入ってくる不労所得です。
給与所得以外に不労所得があれば、生活する上でも大きな安心感が得られます。
②株価を気にせず、淡々と投資できる
配当株投資は、長期的に株を保有し続けることで、配当金を得る投資法です。
そのため、株価を気にせずに淡々と投資を行うことが出来ます。
不景気で株価が低迷する時期でも、配当金があれば心理的安心感が得られます。
③配当金は自由に活用できる
得られた配当金はその人の自由に活用することができます。
生活費や娯楽費に充ててもいいですし、再投資に回すことも可能です。
また、保有している株は「権利収入」として、家族に引き継ぐことも出来ます。
配当株投資の進め方
本書では、配当株投資の進め方を3ステップで紹介しています。
- 初期投資「100万円」で株を買ってみる
- 年間12万円の配当金を目指す
- 投資金額が1000万円を超えると成長スピードが急加速する
順番に見てきましょう。
①初期投資「100万円」で株を買ってみる
配当株投資は数万円からでも始めることが出来ますが、配当金の魅力を感じるためには、初期投資「100万円」で株を買ってみることがオススメです。
初期投資「100万円」であれば、最初の年に2万〜3万円の配当金を得られる可能性があるので、ハッキリとその成果を実感することが出来ます。
また、「NISA口座」を活用すれば、配当金にかかる約20%の税金が非課税となるため、資産を増やす上で有効な手段となります。
②年間12万円の配当金を目指す
次に、年間12万円、1ヶ月あたり1万円の配当金を目指します。
年間12万円の配当金を得るためには、300万円〜400万円の投資資金が必要になります。
個人差がありますが、人によっては10年ほどの期間を見ておく必要があります。
この際に、基本的に株を売ることはしません。
株は、タイミングを見ずに、淡々と買い進めていき、ひたすら枚数を増やしていきます。
第2ステップに入ると、株価に一喜一憂せずに、淡々と入金を続けていく「胆力」と「経験値」が身につきます。
③投資金額が1000万円を超えると成長スピードが急加速する
労働収入による「追加投資」、配当金からの「再投資」、企業による「増配」をエンジンにして、コツコツ投資を行っていけば、いずれ1000万円の大台を突破する日がやってきます。
投資金額が1000万円を超えると、年間の配当金は30万円〜40万円に達しています。
人によっては、十分な不労所得が得られるここがゴールとなります。
ただし、ここからさらに「追加投資」「再投資」「増配」を続けていけば、成長スピードが急加速し、一気に資産を増加させることも出来ます。
配当株を選ぶ際のポイント
本書では、配当株を選ぶ際のポイントがいくつか紹介されています。
- 大型株を買う
- 稼ぐ力の強い企業を選ぶ
- 過去の実績と将来の見通しを確認する
それぞれ解説していきます。
大型株を買う
配当株は、有名な大企業の大型株を中心に買います。
大型株の中でも「参入障壁が高い」「業界1位、2位の企業」が投資候補となります。
「参入障壁が高い」とは、その業界に新規参入することが難しい障害が立ちふさがっている状態のことです。
参入障壁には、主に3つの要因があります。
- 既存企業に優位性(規模の経済性、ブランド力、技術力がある)
- 法律的な規制がある
- 著しく商品の差別化が図られている
参入障壁が高ければ、他の企業の参入が難しくなるため、毎年安定した利益を上げることが出来ます。
具体的には、「銀行・金融」「商社」「保険」「通信キャリア」などになります。
また、「業界1位、2位の企業」の企業を選ぶことも重要になります。
業界1位の企業には、圧倒的な強みがあり、第2の企業には、それを追いかけるだけの実力があるからです。
これらを考慮した具体的な企業がこちらです。
「銀行・金融」
- 第1位 三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)
- 第2位 三井住友フィナンシャルグループ(8316)
「商社」
- 第1位 三菱商事(8058)
- 第2位 伊藤忠商事(8001)
「保険」
第1位 東京海上ホールディングス(8766)
「通信キャリア」
- 第1位 NTT(9432)
- 第2位 KDDI(9433)
- 第3位 ソフトバンク(9434)
「銀行・金融」「商社」は、1位と2位が圧倒的です。
「保険」は一強状態となっているので1社のみ、「通信キャリア」は三つ巴の状態となっているため、3社が選ばれています。
本書では、これらから5銘柄くらいを中心に資産形成を行っていくことが推奨されています。
稼ぐ力の強い企業を選ぶ
配当株投資を選ぶ際は、稼ぐ力の強い企業を選ぶことが重要です。
投資判断に対する指標は多くありますが、本書では「EPS(1株当たりの純利益)」を最重要指標としています。
EPSは次の式で求めることが出来ます。
当期純利益とは、企業の売上高に経費などを差し引いて最終的に残った利益のことです。
この利益が株主への配当の原資となります。
そのため、EPSを見れば「その企業がどれだけ稼いでいるか」を端的に見ることが出来ます。
EPSは、右肩上がりで推移していることが理想的です。
EPSが上がれば、配当金も上昇していくことが期待できるからです。
ただし、EPSは業種によって異なりますから、業種ごとに比較して投資判断を行いましょう。
過去の実績と将来の見通しを確認する
配当株投資を選ぶ際は、過去の実績と将来の見通しを確認しておくことが重要です。
過去の実績に関しては、企業IRや株式情報サイトで確認することが出来ます。
過去の実績で見るポイントは3つあります。
- 「EPS(1株あたりの利益)」はどう推移しているか?
- 「増配率」は上昇しているのか?
- 「配当性向」はどの水準にあるのか?
「EPS」や「増配率」に関しては、基本的に右肩上がりで推移していることを確認します。
「配当性向」は、企業の当期純利益のうち、どれだけを配当金の支払いに向けたかを示す指標です。
配当性向は次の式で求めることが出来ます。
配当性向は低すぎると、企業の株主への還元意識が低いと判断出来ます。
逆に、高すぎると、企業が無理をしているため減配のリスクが高くなります。
一般的には、30%〜40%が適正水準と考えておきましょう。
また、将来の見通しに関しては、企業が発表している「中期経営計画」を確認しましょう。
多くの企業が「中期経営計画」の中で株主への還元姿勢を明確に打ち出しています。
これを見れば、今後3年くらいの配当予想を確認することが出来ます。
感想
本書では、配当株投資の魅力や実践法が分かりやすく書かれています。
この記事で紹介したこと以外にも、配当株を選ぶ際の基準や具体的な銘柄の解説もあり、読み応えがあります。
本書で私が特に気になったのは、株の管理がしやすいという理由から5銘柄くらいの集中投資を推奨してる点です。
個別株は、決算の確認など管理に手間がかかりますが、集中投資はリスクが大きくなります。
そのため、投資初心者は20銘柄ほどへの分散投資から始めるのが良いのではないかというのが、個人的な感想です。
私は日本高配当ETFを作るイメージで、配当株投資をしているので、その辺りは少し考え方が違いました。
いずれにせよ、優待株投資に興味がある人には、オススメの1冊となっています。
今回紹介した記事の内容をさらに深く知りたい人は、ぜひ書籍を購入してみて下さい。