【書評】「ゴールド投資」高橋ダン
今回は元ウォール街のトレーダーで、現在日本でYouTuberとして活動している高橋ダンさんの「ゴールド投資」を紹介します。
本書は
- 金投資について詳しく知りたい人
- これから金投資を始めたいと思っている人
にオススメです。
著者プロフィール
- 名前 高橋ダン
- 出身 東京
- 職業 投資家、起業家、YouTuber
10歳まで日本で育ち、その後渡米する。
コーネル大学卒業後、米国の投資銀行に就職する。
その後、ヘッジファンドを共同設立し、大きな利益を上げる。
さまざまな国々を旅した後、2019年に日本に帰国する。
2020年からYouTubeを始め、現在は独自アプリの運営やコメンテーターなど幅広く活動している。
本の概要
本書の概要は以下の通りです。
- 金に投資するべき6つの理由
- 金に関する7つの投資商品
- 金投資の具体的な方法
順番に解説していきます。
金に投資するべき6つの理由
①世界恐慌に備える最も有力な保険
金は暴落に強い資産です。
実際に、リーマンショックやコロナショック時において、あらゆる金融資産が暴落しましたが、金はわずか1ヶ月で元の水準まで回復し、元値以上に値上がりしました。
「有事の金買い」という言葉がある通り、市場が荒れると金は値上がりする傾向があります。
そのため、金はクラッシュが起きた時に資産を守る「保険」となるのです。
②インフレリスクに備える
金はインフレで値上がりが期待できる金融資産です。
インフレが起こると物の値段が上がるため、お金の価値が下がります。
日本は長期間インフレが起こっていない国ですが、今後は分かりません。
そのため、資産の一部を金に回すことで、インフレに備えることが出来ます。
③供給量が決まっている有限の資産
通貨や株式は新たに発行することが出来るため、価値が下がる可能性があります。
その一方で、金は有限の資産です。(これまで発掘された金は約19万トン)
新たに作り出すことが出来ず、埋蔵量も決まっています。(金の埋蔵量は約5万トン)
そのため、金は供給量の増加によって値下がりする可能性が低い資産なのです。
④5000ドルに値上がりする
金は値上がりする可能性の高い資産でもあります。
世界のマネーサプライ(世の中に出回るお金の量)は年々増加しています。
マネーサプライが増加すると、通貨の価値が下がり、金の価値が上がる傾向があります。
この傾向は長期的に続いていくため、金価格も将来的には5000ドル以上に値上がりする可能性が高いと予想されます。(2022年5月時点の金価格は約1800ドル)
⑤世界の有力投資家が買っている
世界の有力な投資家や機関投資家の多くが金をポートフォリオに組み入れています。
また、世界各国の中央銀行も大量の金を保有しています。
このように、投資情報に精通している人々の多くが金を買っているため、個人投資家も安心して投資を行うことが出来ます。
⑥ほったらかし、ストレスフリーで投資できる
金は手軽に買うことができ、長期で安心して持てる商品です。
長期で保有しているだけで経済危機やインフレなどの「保険」としての機能も果たします。
また、老後までほったらかしにしておくだけで、資産を増加させていくことが出来るのです。
金に関する7つの投資商品
①金の現物投資
金そのものを買う現物投資です。
金を買って保有するだけのシンプルな投資です。
ただし、購入時の消費税や保管コストなどがかかるというデメリットがあります。
②金のETF
金価格と連動するETFへの投資です。
ETFは株と同じように売買でき、低コストで投資が出来ます。
そのため、個人投資家が最も投資しやすい商品と言えます。
③金先物・金CFD
金は先物取引やCFDでも取引出来ます。
この二つは、レバレッジをかけることで高いリターンを得られる一方、損失も大きくなる金融商品です。
機関投資家や投資専業トレーダー向けの商品となっています。
④金鉱株
金を採掘する鉱山会社への投資です。
金鉱株は投資をすると配当金が得られるというメリットがあります。
ただし、金価格よりも値動きが激しく、リスクの高い商品となります。
⑤金鉱株のETF
ETFで金鉱株全体への投資も可能です。
個別株と違って、リスクを抑えることが出来ます。
ただし、あくまで株式投資のため、金価格と違った値動きになることもあります。
⑥銀、プラチナ、パラジウムのETF
金と同じ、コモディティ商品への投資です。
これらは保管が難しいため、ETFへの投資が適しています。
さまざまな商品に投資することで、リスクを分散させることが出来ます。
⑦ビットコイン
ビットコインは、「デジタルゴールド」とも言われており、コモディティの一種と定義されることもあります。
ビットコインも金と同じく、発行上限が決まっているため、次第に価値が上がっていくことが予想されます。
ただし、現在は金よりも株式との相関関係が強い商品となっています。
金投資の具体的な方法
長期投資
金は「長期・分散・積立」投資が適しています。
長期で投資を行うことで、資産を守る「保険」にもなり、また、値上がりで資産を増やしていくことも出来ます。
また、買うタイミングと商品の分散を行います。
例えば、資産配分の30%がコモディティ、その中で金5%、金鉱株・金現物5%、銀5%、プラチナ・パラジウム5%、ビットコイン5%、その他5%に分けます。
そして、積み立て投資を行うことで高値づかみを防ぐことが出来ます。
毎月いくらを投資するかなど事前に決めておき、機械的に買い付けを行うと良いでしょう。
短期的な値動きは気にせず、老後までコツコツ投資を続けていくことがオススメです。
短期投資
30万円以上の資金が用意できたら、短期投資でも資産を増やします。
長期投資とは全く別ものとして、取引を行なっていきます。
経済ニュースなどの情報収集やチャート分析を行なって、短期間で売買していきます。
レバレッジや空売りを活用することで効率よく資産を増やしていくことが出来ます。
感想
本書は金投資だけでなく、金に関連した商品(金鉱株、銀、プラチナ、パラジウム、ビットコインなど)への分散投資も推奨しています。
コモディティだけで、これだけの分散をすることは初心者には少しハードルが高いですが、その分リスクはかなり抑えられる投資手法であると感じました。
また、長期投資だけでなく、短期投資を推奨していることも特徴的です。
ただし、こちらも初心者にはハードルが高いため、勉強し投資経験を積んだ上で、挑戦してみるべき投資戦略であると感じました。
しかしながら、本書は全体を通して初心者でも金投資について分かる内容となっています。
金投資だけを扱った本はあまりないため、とても参考になる1冊でした。
今回紹介した記事の内容をさらに深く知りたい人は、ぜひ書籍を購入してみて下さい。